花とみらい

あなたの輝く笑顔が、ずっとずっと続きますように。

スポンサーサイト

Posted by 姫璃 on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鬼夕の月(6)

Posted by 姫璃 on   0 comments

もしも願いが叶うなら
この命を絶つ相手が、最も愛する親友でありますように・・・



鬼夕の月(6)   小さな真実


眼が覚めて最初に見た景色は、小奇麗な部屋だった。
天井は優しい木材が使用され、揺れる葉と同調するかのように木漏れ日が
揺れている。開かれた窓辺には、小鳥が一匹降り立っている。
寝心地の良い木のベットで意識を取り戻した篝は、全てが夢だったかのように
錯覚するほど、天国のような場所だった。

(眠って、居たのか・・・・?)
篝はベットから体を起こすと、部屋の隅々を眺める。
(此処は、何処なんだ?・・・あの女は?・・・・一体、どうなってる?)
篝は自分を眺めて、初めて自分が寝巻きを着ている事に気づく。
「あ、起きられたんですね??よかった・・・。」
窓辺の方向から不意に声を掛けられ、篝は視線を窓辺に向ける。
其処に居たのは、見た目17・18歳ほどの女性。
キレイな亜麻色の髪に、深く透き通ったエメラルド色の瞳が印象的だった。
「ちょっと待って下さいね。直ぐにそちらに行きますから。」
女性はにっこりと微笑み、やがて窓辺の奥へと消えていった。



「もう3日ほど飲まず食わずで眠っていらしたので、もう起きてはこられないのではと思いました・・・・でも大丈夫でよかったです。」
女性は天使のような笑顔で奇麗に配膳された食事を部屋のテーブルにそっと置いた。
「俺は・・・何故此処に・・・でも誰が・・・・?」
「・・・・え、えっと。それなのですが、篝様宛てにと一人のご女性がお手紙を預けていかれましたよ。篝様が気づかれたら渡すようにと言われたモノですが。」
女性は白いエプロンのポケットから、小奇麗な白い封筒を取り出すと
篝の伸ばす手にそっと手紙を渡した。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・私は少し、隣街まで用事があって行かねばなりませんので、ごゆっくりしていって下さいね。それでは、失礼します。」
女性はそう言うと、そっと部屋から退室していく。
篝は、手の上にある真っ白な手紙を開封すると、数枚の手紙を手に取る。
そして、そっと目を通した。



今から言う事は全て真実です。
最初は信じられないと思うでしょうが、どうか信じてください。
貴方の本当の名は、『RIECU(リエク)』と言います。
1500年も昔、リオテイラと言う先進国家がありました。
リオテイラは最強の武力を誇る国で、最高の兵器を生み出すことに
力を入れていました。それに目をつけたのがサルガナサスです。
サルガナサスの悪行が目立ち始めたのは、ほんの数年前からですが
実際は1500年もの長き間、水面下で動いていただけなのです。
サルガナサスは最高の兵器である貴方、【RIECU】を手に入れることに
成功しましたが、たった一つだけ誤算があったのです。

貴方には、他の兵器とは違い、生身の人間を用いて作られました。
その脅威な力以外は、人間と同じ『心』と『体』が与えられています。
ただし、兵器として作られているので歳を取る事は叶わぬ不老の身です。
しかし、サルガナサスは『心を持つ』貴方を恐怖と感じました。
貴方が自らの意思で行動する兵器であることに気づいた時には
すでに手遅れであったからです。
サルガナサスは、忠実に動く兵器でなければ、危険だと考えました。
そして、その目的を達成させるには、貴方の心を壊す・・・
その必要性が出てきたのです。
その犠牲となったのが、夕夜さんです。
人間の心を持つ貴方は、傷つく心も持ち合わせていると考えたのでしょう。
夕夜さんを利用し、貴方に自我の放棄をさせれば、貴方は忠実な兵器とし
て利用することができます。
サルガナサスは、貴方の精神を操るよう施しました。
しかしそれも上手くままなりませんでした。

その理由は、二つあります。
彼等、サルガナサスは貴方の真名を知らなかったこと。
そして、貴方が完璧な自我の放棄をしていなかったこと。

リオテイラ国の兵器は、真名を唱えられなければ完璧なる命令と忠誠
は誓いません。貴方は感情も持っているので、貴方の精神が同意し
なければ命令を実行しきることはできないのです。
それでも、精神を操るだけで、数都市を無理矢理にも壊滅させること
が可能でした。それだけでも、恐ろしい組織だと言えるでしょう。
私は貴方を助けるべく、侵入し、精神解除を施しました。
今、この手紙を読む頃には全ての記憶が戻っているでしょう。

そして、貴方にはもう進むべき道がわかっているでしょう。
しかし、ソレを行うも行わぬも貴方の自由です。
そしてもし、サルガナサスを相手にすることを決めたのなら
決して、真名だけは隠し通すようにしてください。

この手紙は、誰の目にも触れぬよう、火の聖霊の元に
お返しください。

 
                沙楽



篝はその手紙を強く握り潰した。
自分の過去を知りたいと、記憶を失っていた自分は強く思っていた。
自分というモノの喪失感が、辛かったからだ。
自分が兵器であると言う事すらも、知らなかった。
夕夜の隣で笑う自分が、真実の自分だなどと思っていた。
確かに、記憶を失っていても妙な力を持ち合わせているとは思っていた
でも、それがこのような結末だとは思わなかった。

ずっとずっと、一緒に居ようと言っていた、夕夜。
復讐なんてしない、と悲しそうな顔で言った、夕夜。
けれど、夕夜から大切なモノを奪ったのは・・・俺だった。

命令されて、夕夜を利用していた俺の、あの時の優しい感情は
なんだったのだろう。
命令されたから、俺は夕夜を好きになったのか?
本当は、裏切るために好きになっていたのか?
『此処まで指示通りに動いてくれるとは思わなかったわ・・・!』
あの時、あの女はそう言った。

俺の感情は、何処までが真実(ほんとう)なんだろう。
そう思って俯いていると、頭上にある扉から
心地よいノック音が響き渡った・・・・・・。













Post comment

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。