花とみらい

あなたの輝く笑顔が、ずっとずっと続きますように。

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Posted by 姫璃 on

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鬼夕の月(2)

Posted by 姫璃 on

真実を知ったとき
それは憎しみでも怒りでもない
ただ、我が身の存在というモノの  悲しみだけが残った


鬼夕の月(2) 理由 

世界がどうなろうと、どうしようと関係なかった。
何も感じずに居られるならどうでもよかったのだから。
人々の叫びも悲しみも、混沌も。全てどうでもいい。
殺す為に作られただけの兵器(おれ)が何を感じる必要があるんだ?

感情なんて、あるだけ損だろう。

感情が無ければ。人を殺したとか、殺さないとかで傷つくこともない。
なのにどうして、こんなにもこの胸は痛むんだろう。
「・・・お・・・ねが・・・きて・・・。」

不意に何処からか声が聞こえた。

「おねがい・・・起きて。」

誰かが・・・呼んでいる?・・・・・
篝は薄っすらと目を開く。体が石のように重く感じ、直ぐには目を開けられなかったが、ぼんやりと人間の輪郭を写している。数分経ち、視界がはっきりすると、目の前の少女が前のめりに此方を覗き込んでいた。

「ああ、よかった。目覚めたんですね。」
「・・・・・・・・・敵、か?」
無機質な声が会話を切り、自らの声が発せられたと同時に、篝は自らの胸にしまわれたナイフを、目にも留まらぬ速さで少女の首へと当てた。
少女は驚きの表情を見せ、そしてすぐに悲しげな表情を見せた。
「そう・・・殺すのですか?数々の都市を壊滅させた時のように。何も感じず、何も見ず。そして貴方はなんの真実も知らないままで・・・いいのですか?」

少女はそう言うと、篝の頭上を手で触れた。
急な行動に篝は言いかけた言葉を失う。ナイフを持つ手に力が入った。
少女は、そんな篝を見て微笑んだ。
「見極めて下さい・・・貴方が此れから見るもの全てを。」
「・・・・・な、にを言って・・・。」
「じっとしていてくださいね・・・・・・・・・・ですから・・・。」

そこで意識が遠退き、最後の少女の声は聞き取れなかった。
遠退く意識の中で、あの胸の痛みが取れていくことだけが、はっきりとわかった。



*--◇--*--◇--*--◇--*--◇--*--◇--*--◇--*--◇--*--◇--*--◇--*

―俺の名前は夕夜(ゆうや)って言うんだけど。君の名前は?

見た目14・13ぐらいの一人の少年は、金髪の髪を風に靡かせ、明るい顔をしてそう尋ねてきた。見覚えのある顔。忘れられないはずの顔。どうしてずっと忘れていたんだろう。

―名前が無い???うーん・・・困ったなぁ。

その少年は小さな男の子を見て、そう言った。

―うーん、じゃあ・・・・篝!篝なんてどうかな。カッコイイだろ?

少年は輝かんばかりにそう言った。
その小さな子供は、その少年の笑顔を見て、初めて笑顔を見せた。
少年はそんな小さな子供の笑顔を見て、少し照れくさそうに笑った。
幸せな時間は確かにあった。
それが例え、何時かは憎み憎まれる関係になっても。
この時の笑顔までは、嘘ではなかったのだと俺は信じている。

真実を知ったとき・・・
それは憎しみでも怒りでもない
ただ、我が身の存在というモノの  悲しみだけが残った
だから、誰かを責めるつもりだってない。
殺すつもりだって、世界を憎む理由だってなかったはずなのに。

なぜ俺は、屍の山に立ち続けたんだろう。











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